2025年2月に新宿眼科画廊にて開催にされるグループ展「みつばのクローバー」に参加される作家の方々へ、共通質問リストをもとにDMによるインタビューを行いました。
それを再構成し、記事化しています。
◼︎これまで絵を描いてきて、どうして今の絵(主に女児を描くこと)にたどり着いたか

ひすいさんの絵を高校生の頃からずっと拝見させていただいており、今回こうやって展示を一緒にできることが本当に嬉しいです!
これまで絵を描いてきた中で、どのようにして、今の絵(主に女子を描くこと)にたどり着きましたか?なぜ、女児を書いていますか?

幼い頃から絵を描くのが好きなタイプなんですが、実は5歳ぐらいの時からずっと女児の絵を描いてました!
はっきり女児を絵の主題にしようと思ったのは高校生ぐらいの時です。

5歳から!とすると、(開催当日展示予定の)プロフ帳と少し被ってしまうのですが、なにかきっかけがあったのでしょうか?
未就学児って、体を動かして遊ぶ子が多くて、絵を描いて遊ぶ、という子は少なかったように思います。どうでしたか?

うーん、幼稚園に入ったあたりから工作や絵を描くことが好きだったんですよ。
自分が思った通りに紙とか素材をコントロールできることに楽しみを見出していました。
どうせ描くならフリフリ衣装の可愛い女の子がいいな…と思って女児を描いていた気がします。
まわりの友人たちもみんな女の子の絵を描いていたので、そんなもんかなーって思ってました。
あと、5歳〜中学生ぐらいの時まで自由帳とかプリントの裏に女の子の絵を描きまくってました。
みんな10歳〜14歳ぐらいのイメージで描いていて、家の外に持ち出さないノートに描く絵なんかは“実は死んでいる子”なんて設定をつけたりしていましたね…。
高校生あたりまでは自己投影的な感じで女児の絵を描いていましたが、大学生になってからは自分自身の個人的な女児性というよりも、普遍的な幼児性を描きたいという意識が強くなりました。

実は死んでいる子ってすごい!
絵の中の女の子達がみんな生きていたんですね…
10〜14歳の女の子を描いていたのも、なぜその範囲なのか、気になります!

10〜14歳ぐらいの女の子を描いていたのは、当時読んでいた漫画の影響かもしれません。
あと単純に大人のお姉さんよりも自分の年齢に近い人間の方がイメージしやすい、という感覚もありました。
あ、ランドセルを描くのも好きでした!
じゃあ必然的に女児を描くことになるかも!?

ランドセル=女児だ!
◼︎女児作品で何を伝えていきたいか?何を表現していきたいか?
では、女児作品をこれからも作っていくなかで、そこで何を表現していきたいですか?
また、どんなことを伝えたいですか?

大人の中に潜む幼児性を描き出したいと思っています。
人間の内面で起こることにすごく興味があります。
人間について深く知りたければ、その人の未熟な部分や幼児性の強い部分に着目して、何を行動原理にしてはるんだろうか…
という視点から考えると理解が深まる気がしています。
幼児性=欠点であったとしても、女児の姿をしていれば愛着をもって成長を見守れそうですね。そんな絵が描きたいです。

なるほど…‼未熟な部分を女児に置き換えて書く、というところにひすいさんの優しさを感じます。
いつもひすいさんの絵には優しさとか、ちょっと哀愁を感じたりします。
実際に身の回りにいる人や知っている人をモデルに絵を描くことはありますか?

知っている人から着想を得ることはよくあります。
例えば、“守られた場所から出たくない女児”はよく主題にしていますが、学生時代の自分や同級生達から着想を得ました。
「卒業したくない!」とかおしゃべりしている時によく感じていましたね。
そういう主題はプールとか教室とか乗り物とか、何かに囲まれた場所やモチーフにイメージを象徴させて描くことが多いです。
あ、ほぼ全ての絵が当てはまってるかもしれませんが…(⌒-⌒; )

プールや教室にいる女児の絵は、ひすいさんといえば!というイメージがあります。
守られた場所から出たくないという主題があったんですね…
守られた場所というのも、=女児なかんじがありますね!
◼︎一つ作品を挙げて、それについての説明
では、一つ作品を挙げて、その作品についての説明をお願いいたします!


《おまじないしてること知っててほしい》という絵です。
先日完成した絵で、約1.2×1.8mの大きさです。
今回の展覧会では展示していませんが、お気に入りなので選びました。
トイレは一人で入る場所だけど、不吉なことが起こるので一人でいるのは怖い場所でもあります。
おまじないは人に知られてはいけない行為ですが、おまじないをするぐらい強い気持ちを持っていることは周囲に気づいてほしいものです。
要するに、一人になりたいけど誰かに気にかけてほしい…というイメージを描きました。
作品を作る際に意識していることは、絵が下書きの再現であったり、言葉で表現できることを視覚的イメージに置き換えただけ、というようなことにならないようにしています。
描いたイメージから生まれるイメージを絵に取り込み続けるというか…。
この絵の場合だったら、モチーフとしてトイレを描きたい、ということが最初の制作の動機でした。
描く過程でトイレが持つイメージを考えて、「一人になりたい」というキーワードが浮かんで、そこで『おまじないしてること気づいてほしい』というタイトルが浮かび、じゃあ女児のポーズもおまじないをしてる風にするか…みたいな工程がありました。
◼︎女児を描く際に工夫してること(造形、モチーフなど)

例えば造形やモチーフなど、作品を作る時に意識していることがあれば、ぜひ教えていただきたいです!

女児を描く際に意識していることは、女児の形自体に意味を持たせることです。
体に対して頭でっかちなスタイルであれば、物質的な事柄よりも抽象的なイメージに目を向けている女児です。
足は小さく脱力感があるのに腕が極端に長くて遠くに伸びている女児は、その場から動かず手の届く範囲で活動的になるタイプのような。
臨床現場で行われる描画テストの事例集を読むのが好きで、インスピレーションをもらっています。

ひすいさんはnoteでも自身の絵や展示タイトルなどについて解説をしているかと思います。
ひすいさんの絵が本当に大好きで、いつも読ませていただいているのですが、どの作品にもやはり、自分自身でいつも気にかけているわけではない、抑圧しがちな気持ちに着目しているなぁと思います。
女児と空間が歪んでいるのがひすいさんの絵の特徴でもあると思うのですが、女児にはそんな表現がこもっているんですね…!空間にも、なにか表現している事柄があるのでしょうか?

ピンキーポップさんにnote見ていただけて嬉しい〜!!ありがとうございます!
空間が歪んでいるのは、真っ直ぐな線が引けないからっていうのも理由の一つなのですが、心の中で対立する思考や感情で葛藤しているようなイメージも込めています。
大きく歪ませると画面に動きが感じられて、そこからエネルギーが生じるような気がしています。
葛藤によるエネルギーです。

なるほど‼ひすいさんの絵は画面全体の動きが強く感じられます。
葛藤によるエネルギーなんですね!
ひすいさんの絵はなにかの心情などを表現していて、改めて考えさせられる絵だなぁと思いました。
質問は以上です!どうもありがとうございましたm(_ _)m
あ!あと、何か言い残したことがあればぜひお願いします〜

こちらこそありがとうございました!
これからも“女児を描くこと“について探究していきたいのでよろしくお願いします!
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