2025年2月に新宿眼科画廊にて開催にされるグループ展「みつばのクローバー」に参加される作家の方々へ、共通質問リストをもとにDMによるインタビューを行いました。
それを再構成し、記事化しています。
◼︎これまで絵を描いてきて、どうして今の絵(主に女児を描くこと)にたどり着いたか ハ息子
これまで絵を描いてきて、どうして今の絵(主に女児を描くこと)にたどり着きましたか?

元々絵を描き始めたのは保育園の頃でした。
遊ばなきゃっていう時間が多く、自分の世界にのめり込めるの絵ばかり描いていました。
外遊びとかも本当に苦手だった…。
究極の泥団子作るのは好きでした!
その絵に、自分が見ていたテレビやゲーム、絵本の憧れる部分を描いて自身の目の前に作れることが好きでした。
『プリキュア』と『ミンキーモモ』が好きでした。
主人公が何かと頑張るアニメや変身する系が好きだったので、女の子を描くこと、妖精的なキャラクターを描く事ばかりやってきたような気がしています。
小学校に入った頃に『ちゃお』で漫画をしり、漫画を自分で描き始めました。
誰にも見せないけど、少女漫画雑誌を大量に手作りしたりしていました。
自分が唯一知ってる英単語のCATがタイトルです…。
中学生頃から好きな漫画家やアニメに影響を強く受けて、今の作風にたどりつきます。
なんというか、自分が女児を描くというよりかは、小さい頃の自分がずっといる感じです。
女児が今を生きる為に絵を描いています。
◼︎女児作品で何を伝えていきたいか?何を表現していきたいか?
では、女児作品で何を伝えていきたですか?また、何を表現していきたいですか?

二つあります!一つは作品を通して誰かに優しくしたいです。
漫画だとこれのほうが多い。
肯定していきたいんです。
何かいわれてもひっくり返らないような、本当のことだけ言っていきたいです。
二つ目はこの世の中の自分的に思ったグロい部分です。
世の中にあるやだなぁという部分を少しでも変えれたら嬉しいです。
どちらにもやはり自分の中の女児が思う可愛い要素や、女児自身(純真無垢の象徴とすることもあります)
をくわえて常に書いていきたいです。

世の中のグロいところって例えばどんなところですか?
私も世の中のやなところを描いてるので共感できます。
私の場合だと宗教二世とか虐待とか子供の無知故の残酷さなどを取り上げて描くことがあるのですが
ピンキーポップちゃんが注目してる部分を知りたいです。
『そこの川にはあの日の私達がいる死んでも居続ける』を拝見しましたが
社会との分かり合えなさや葛藤を感じました。

漫画読んでくれてありがとうございます!
嬉しい…嬉しすぎる!
世の中のグロいところというのは、私の場合だと誰か(誰か達)を自分の為に傷つけてしまえる考えや
そういう世の中の仕組み、降りかかる理不尽なこと、悲しいこと等を指しています。
例えば家庭とかです。
あとは気にしないまますぎていくような違和感です。
「実はそれを言いたいって気持ちの方が大きくて、実際のところ、本当に思ってるのかなん」
とゆーふうに、そーゆう違和感、気になっちゃうんです…。

私は世の中に違和感を感じるときは、Twitterの論争とか見ている時に
“正義を振りかざして気持ちよくなりたいだけで本当の弱者のこと知ろうとしてないし考えてないじゃん!”
みたいな経験はよくありますが、ピンキーポップちゃんが持ってる違和感ってどんなシチュエーションの時に感じますか?

そういう場面でもすごくよく感じますね…。
年齢だけ大人になってしまった、でも自分では大人だと思っている。
そういうのはなりきり大人と呼んでいます。
自分の違和感では、例えば病院に行って、先生という立場の人に怒られたり笑われたりした時とかですかね。
日常の場面の違和感とかは、本当は自分がおかしいんじゃないかな?
とか最近は思うようになってきました…。

なりきり大人いい言葉ですね。
そういう人実際にいますもんね。
先生や医者の話だと私も先生に怒られるのが嫌過ぎて勉強に本当はついていけてないのに
友達のノートを写して友達の宿題を写して、根本的な改善が出来なかったし、自分の抱えている問題を見つけて貰えなかったのが辛かったです。
ピンキーポップちゃんの先生という立場の人が怒ることの違和感っていうのはあらかじめ対等さがない、上下関係ができた状態で逃げられない立場なのに怒られることの理不尽さ?ツラさなんでしょうか。

そんなかんじです。
状況的に、知識の有無で対等で無い事が一番にあります。
知らないからこそ、正しいか分からないけど先生にとりあえず従うしかない。
何かに笑ってるとか、怒ってるとか、自分ではそれが何故か分からない…とゆーかんじです。
■家庭について
答えたくなかったら大丈夫なのですがピンキーポップちゃんにとって“家庭”はどのようなもので、絵にどう影響を与えましたか。

自分にとっての家庭は恥ずかしくて、怖い場所です。
家族構成などもろもろを隠していたりもしました。
自立しなきゃとおもいまくり、音楽や本や映画をたくさん見るようになりました。
それがやっぱり今につながっています。
お兄ちゃんが現在もこの世で一番恐ろしい存在なのですが、それを見てとにかく人に優しく、
偏見なく真剣に向き合おうと思い、
今のやさしくしたいという考えにつながっているなーとおもいます。
恥ずかしいなんて言いましたが、親のことが好きです。
ママとパパに幸せになってほしいです。

(前述の〜日常の場面の違和感とかは、本当は自分がおかしいんじゃないかな?
とか最近は思うようになってきました…。という部分を受けて)
私はピンキーポップちゃんがおかしいと感じなかったけど
“本当は自分がおかしい”って思ったのはどんな部分ですか?
家族に対するトラウマで反面教師になって優しくなってしまうの分かります!
私は宗教2世でツラい思いをしたから反動で神社も行けなくなっちゃいました。
「自立しなくてはならない」という強い思いが、音楽や映画、本に向かわせたというお話。
こうした表現に触れることで、どのように自分自身が支えられたり、インスピレーションを得たりしたのでしょうか?
例えば、音楽や映画、本の中で特に印象に残っている作品や、当時の自分にとって支えになったものがあれば教えてください。
また、それらが今の創作活動にどのような形で影響を与えているのか、もし具体的なエピソードがあればぜひ聴きたいです。

ありがとうございます(;︵;)
自分が「それはおかしい…」と思うことが多すぎて、自分のその感覚が実は他の大多数の感覚とはズレているもしれない
と最近考え始めたんです。
今まで、おかしいよ!と思うことが多かったけど、実は自分がおかしいんじゃないかな?という。
高校生の頃にチェン・ユーシュン監督の『ラブゴーゴー』という映画を見て、当時の自分が素のままでもおかしくない、
というふうに思えて、道化っぽくふるまったり需要に合わせて何かをするのをやめれたきっかけです。
今好きなものだけを作っていけるようになれたのも、ここからですね。
主人公が3人いて、それぞれ歌が下手だったり太っていたり不審だったりとさまざまな特徴を持っています。
全員恋をして全員失恋する話です。
一見欠点に見えますが、映画内でその特徴が変わることはありません。
そしてその欠点に見えたような部分が、誰かの気持ちを救う話です。
3人とも、映画の中で自分を変えようと努力するところも大好きです。

ピンキーポップちゃんが思っているズレは唯一無二の個性だと思うので、苦しんで社会とすり合わせようとしなくても
なんなら創作する上で活かされると思います✨
ママとパパには幸せになって欲しい”というところが共感できる部分と引っかかる部分があって、私は母から虐待されて、家を出なきゃ!
って思って家から離れてから、母のやった事の罪は消えないけど、母に対しての憎しみは薄れました。
母は声楽家の夢を諦めて結婚し、おそらく発達障害で家事が苦手な上に発達障害の子供を育ててストレスの行き場もなく孤独だったんだろうな、
と考えるようになったしもう苦労して欲しくないなと思いました。
(虐待受けた現実を受け止めたくなさからくる身を守るための思考かもしれないが…)
逆に虐待を止めなかったしなんなら加担していた妹と父親はなんだったんだ??
と考えるようになりました。
ピンキーポップちゃんは恐ろしかったお兄さんとの関係性も含めてお父さんお母さんに対してどう思ってますか?
ラブゴーゴーせっかくだから観た後に質問しようと思ったんですけどサブスクに存在しないんですね😭
社会に合わせて矯正して大成功する映画は自分が否定されてるみたいで苦手なんですけど、社会的に欠点とされるものを持ちながらも
頑張って特に特徴は変わらないまま失恋しちゃうお話はめっちゃええやん観たい!
ってなりました!
今のピンキーポップちゃんを形成した一部だからなんとかビデオ屋でレンタルを成し遂げます!

ラブゴーゴーやばいです!
本当にずっと大好きです、ぜひ見て欲しい‼︎
パパやママの見え方と自分の見え方が違うのは仕方ないものとしてあきらめていました。
家族内の出来事ではあるけれど、二人とも親よりも前に一人の人間だから、カバーできる事の大きさがあると思っていました。
そういうふうにおもうのは、普段優しい部分もあるのを知っているからこそだなぁと思います。
父に関してはプライベートパーツっていうのかな?
そういう感じで気持ち悪く思う時もありました。
ハ息子ちゃんのお家も本当に大変で、いまハ息子ちゃんがあるのが奇跡みたいですね( i _ i )
見ているだけならまだしも、加担するという状況で追い詰められる気持ちになるのが想像できます。
ものすごい怖いですよね。

家族の中でも、それぞれが一人の人間として違う部分を持っているのを感じる瞬間って、複雑な気持ちになることがありますよね。
でも、普段の優しさを知っているからこそ、そう思えるんですね。
お父さんに対して抱く感情も、無理に変えようとせず、そう感じること自体が自然なことなのだと思います。

家族って、集団になってしまった他人だなぁと思ったりします。
だから一緒に生活していくってやっぱり難しいし、実際にではなく自分の中で、親と自分の問題を自分なりに解決したり切り離したりしなきゃ行けないきがしますね。
それがあるから今の私があるなぁ、みんなそうですね!
それをするにはやっぱり絵を描かなきゃと改めて思います。
(前述の女児作品で何を伝えていきたいか?何を表現していきたいか?の続き)
今年ユングの精神分析の本を読んで、感動してしまい、そういう要素も踏まえて自分自身の事もかいています。

私はユングには詳しくなくて、本の何処に感動してどのように作品に取り入れているのかを知りたいです。
自分の無意識的な部分に興味を持って掘り下げているってことでしょうか。

そうです!ユングだけじゃなくて、今年読んだ小説や他の哲学の本とかもふまえてになるかも!
無意識的な部分というのが、ユングでは大抵過去のトラウマのことを指しています。
家庭環境や外での出来事色々あると思いますが、人それぞれいつか自分だけで自分自身に向き合う、
というふうに解釈して今の自分を導いてくれているとおもっています。
また夢占いなどのように、自分の絵でもモチーフが何かを呼びかけているように描こうと思いました。
例えばアマゾン川イルカをよく書きますが、人生でほとんど会えることがない架空みたいな存在だなぁと思っているので、
まだ自分が見た事のないその先の未来や将来、死後の世界などを表したいときに描きます。

アマゾン川やイルカというモチーフ現実感なくて夢っぽくて可愛いです✨
夢の中に自分の無意識が現れるといいますが、ピンキーポップちゃんは夢占いのような絵を意識して描く時に自分の無意識と向き合って描いているのでしょうか。
どのような過程で描かれているのか知りたいです。

夢占いについては、ユングの精神分析や夢占いのサイトをたくさんみてきたのもあるのですが、常に覚えている夢を起きてすぐにノートに書き殴っているので、
それと掛け合わせていることが多いです。
夢日記をつけ始めたのは中学生か小学生頃ですが、今も続けています。

夢日記継続的にやってるんですね!
私の友達は明晰夢を極め過ぎてあちらの世界の方が楽し過ぎて現実で生きられなくなり、ほとんど寝て過ごして頭がおかしくなってた時期がありました。
映画パプリカの今敏監督が夢日記をはじめたら精神に異常をきたして医者に止められたという話も聞いたことがあるんですが、
夢日記をつけたり夢と向き合うことでピンキーポップちゃんにとって精神的な影響ってありましたか?

明晰夢極め過ぎてほぼ帰ってこれなくなった子やばいです!大丈夫かー!
よく、夢日記をつけると危険だ…‼︎とか言いますよね。
自分も前に、あの記憶って夢だっけ?どっちが現実だっけ?
となっていた時があります。
そうなれたことがかなり嬉しかったのですが、最近はないですね…。
◼︎一つ作品を挙げて、それについての説明+その画像

《もう帰らないから帰れないところに行けるよ》
F3号 アクリル、キャンバス
2022年



女の子がアマゾン川イルカの大群と上昇しています。
みたことのないような球体と電波塔は不透明な将来とその不安をイメージしています。
ちょうど描いたのが高校を卒業してすぐの頃です。
高校を卒業してからすぐは、周りのみんなもそんな事を悩んでたきがする。
どんどんここまできちゃったけど、この先何が起こるか何もわからない、みたいな。
アマゾン川イルカ達も我関せずという顔でただ漂ったり、横並びしているだけで、頼りになるかわからない。
「大人数だし、正解っぽいなぁ…ついていけば、なんとかなるかな?」
なんかそんな感じの気持ちを絵にかいています。
メインはこんなふうに絵を描いている事が多いのですが、今回の展示では初めて着手したぬいぐるみを展示します!
最近一緒に寝たり、遊んだりして楽しく過ごしていますが、可愛すぎてやばいです。
うちの子達は2〜4歳ぐらいなんじゃないかな?
みていると幸せになってほしいなぁとおもってしまうぐらい、彼らは生きています。
■画風について
絵柄がゼロ年代っぽい?懐かしくて可愛い画風で好きなんですけど、どんな作家さんに影響を受けてこの絵柄に辿り着いたか知りたいです。

可愛い画風嬉しいです!
絵柄でいうと、『なかよし』の戦士や魔法、超能力の漫画が流行っていた頃の漫画たちが大好きで影響をうけています。
でもよく考えたら、一番はそれより以前、本当にたくさん、小さい頃母方の叔父さん
(と言っても20代とか30代手前だった)の部屋に遊びに行った時にみていたもの達だったかも。
2000〜2010年ごろの萌えキャラゲームの雑誌、多分 『Newtype』や『Megami MAGAZINE』、『アニメージュ』あたりだと思うんですけど、それらをずーっと見てましたね。
おじさんが描く萌えキャラが本当にかわいくて、未だ見た事のないような可愛さで、憧れています。

2000〜2010年ごろの萌えキャラゲームの雑誌から来ているの納得です!
私も大好きです!
漫画を書く時はアナログですか?
文字入れなどはどんな端末アプリを使用していますか?

漫画を描く時はアナログです。
文字入れはやっぱりスマホです笑 全てがスマホです。
パソコンいつか使いたいですが、みんなパソコンだからパソコン以外の手段ないかな?と思っています笑

(以前)スマホのアイビス(ペイント)でやってるって聞いて今どきだな!って感心しました。
絵はアナログ特有のタッチが出ていて温かみがあって好きです。
みつばのクローバーのタイトルロゴはどうやって作りましたか?
アイビスにそういうペンがあるんでしょうか。

あのロゴもアイビスでかきました!
ペンの種類が多分使えるのがかなり少なくて、とにかく特徴のないただの線が描けるやつをつかってます。

ペンの種類少ない中描いてくれてありがとうございます!!
細かい作業したくなったらうちにiPadあるし、クリスタとProcreateあるから使ってね…😭
制限された環境で頑張りたい感じですか?

制限された環境で頑張りたいというか、使うものが変わった時に自分の絵も変わってしまうことが怖いです。。。
でもかわるのかな?
自分にはまだ自信がないかんじです!

使う道具が変わったときに絵が変わるのが怖い気持ち、すごく共感します。
私もキャンバスや画材に凄くこだわりがあるので。
もし気が向いたら、うちに来た時にでもiPadを使ってみてね。

優しい!ぜひ、また遊びにもいきたい!

では最後に何か言い残したことはありますか?

これからも自分の本当の気持ちだけ作っていけたらいいなぁーとおもいながら、がんばります!
よろしくお願いします🍎
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